RIC 局所的・遠隔的虚血操作

RICで得られるのは
「血流改善」と「虚血耐性」

RICカフによって血流を一時的に止め、ふたたび開放再灌流)することで全身の血管および毛細血管へ血流が増大。

RIC は、局所的虚⾎コンディショニング(Regional Ischemic Conditioning)と遠隔虚⾎コンディショニング(Remote Ischemic Conditioning)からなります。
虚⾎(Ischemic)とは、⾎流を⼀時的に制限することにより、酸素が⼗分供給されない状態のことです。


“局所的・遠隔虚⾎コンディショニング”とは、ある⾎管の⾎流を⼀時的に⽌めて開放することで、その⾎管だけでなく、⾝体全体の⾎管の⾎流が改善することをいいます。

血流改善部位と作用

ケガの患部ケガの早期回復・抗炎症
神 経神経痛・しびれ
筋 肉筋肉痛・筋肉の緊張緩和
軟 骨ひざ、ひじなどの関節痛
全 身冷え性・美容・免疫向上
歩行安定・認知機能向上

●筋肉、神経、軟骨、脳に至る血流が改善、酸素と栄養が十分に供給され修復の促進が期待されると報告されています。

虚血耐性

虚血耐性とは、組織が短時間の虚血にさらされると、その後に起こる致死的な虚血に対する耐性ができる現象。

一過性の脳虚血発作を起こした患者は、その後に脳梗塞を発症しても梗塞巣が小さく、臨床症状も軽いことが報告されおり、動物実験においては冠動脈を5分間閉塞→5分間再灌流(IR; Ischemia Reperfusion)を4回繰り返した後、40分間閉塞し心筋梗塞を作成すると、IRを行っていない場合に比べ梗塞範囲が縮小したとの報告がある。

Sifnaling mediators for RIC
■GRCPs
adenosine,bradykynin,opioids,angiotensin・reactive oxygen species・nitric oxide・mitochondrial Katp channels
■SDF-1alfa/CXCR4
■Akt,p38,MAPK,Erk1/2,JNK1/2,STAT5

また、ある臓器でIRを行うと、その臓器以外の臓器にも虚血耐性が起こることが実験で示された。

3日に一度のRICをお勧めする理由

虚血耐性はRICを行った直後に出現し、約2時間持続後いったん消失します。
そして約24時間後に再び効果が表れ、約48時間~72時間持続すると言われています。この虚血耐性を維持するには3日に1回程度の間隔でRICがお勧めです。

虚血耐性の特性

虚血耐性を得るには少しでも長い(最長で連続した5分間)RICが有用です。虚血耐性獲得は虚血となる部位(上肢と下肢)や虚血部位の大きさには依存せず、虚血時間に依存します。
2分以下のRICで虚血耐性は得られませんが蓄積効果がありますので、2分×3回等と繰り返すことで虚血耐性が得られます。

MCCによる恒常性維持機能の働き

MCCのRICにおいて、カフによって血流が制限されるとカフから先の抹消に至っては虚血状態となり、人間の脳は”毛細血管が詰まった”と誤認識を起こします。

すると脳は毛細血管の血流を回復しようと全身の血管を拡張する作用(ホメオスタシス)が働きますが、詰まった(駆血された)末梢部位だけの血流を改善するという器用なことではできず、その作用は全身に及びます。

この働きにより、固く緊張している筋肉やインナーマッスルに対しても血流の増加が見込まれ、筋肉の状態の改善が見込まれます。

キリキリ、ピリピリする感覚を感じる事もありますが、毛細血管が広がり、血流を感じる感覚だと言われています。

RICは免疫機能にも良い影響を起こす

ホメオスタシス・恒常性維持機能が働くことで神経伝達を高め、ホルモン分泌を促進します。神経系と内分泌系が働くことにより免疫機能にも良い影響があると考えられています。

神経系からは神経伝達物質、免疫系からはサイトカイン、内分泌系からはホルモンがそれぞれ情報を伝えあって、身体を調節し一定に保つ仕組みを作っている。